2014年8月28日木曜日

中華食堂一番館 高田馬場店(東京・高田馬場)

盛岡スープ冷麺(550円)。2014年7月
「中華食堂一番館」というチェーン店をご存じだろうか。東京都心を中心に約20店舗(2014年8月現在)を展開する中華料理店で、メニューは日高屋に近いが、日高屋よりも安くてうまい。ここの「かけらーめん」(290円)や「チャーハン」(380円、スープ付き)には、お金のないときよくお世話になった。

この「一番館」が、ことしも冷麺を出していた。その名も「盛岡スープ冷麺」。いちおう盛岡冷麺を意識しているんだろうけど、見た目はかけ離れている。具は見るからに冷やし中華の使い回しだ。ハムとか乗ってるし。卵もただのゆで卵ではなく、ラーメンについているような煮卵だ。

「スープ冷麺」という名称になったのも、スープを売りにしてるからというよりは、冷やし中華との混同を防ぐためなのかもしれない。

麺とスープはちゃんと冷麺用のものを使っているようだった。スープは冷麺にしては味が濃いめで、飲み応えがある。業務用の冷麺スープを濃いめに溶いてるのかもしれない(オリジナルだったらすみません!)。キムチもかなりパンチの効いた味付けで、これをスープに溶くとまた雰囲気が変わる。

酢をかけたければ、卓上にある餃子用の酢を使えばいい。冷たくしたければ、周囲の目を盗んで水のコップから氷を何個か移そう。まあ、別に上品な店ではないので堂々とやってもいいと思うけど。


2014年8月17日日曜日

草の家(東京・赤坂)

「自家製手打ち冷麺」ランチセット(1,100円)の冷麺。ハサミを入れたあと
東京で韓国・朝鮮料理店が多い場所というと、新大久保、上野、三河島ぐらいまではすぐに名前が挙がる。だが、以外と見落とされがちなのが赤坂だ。

なぜ赤坂に韓国料理屋が多いのか、いまいちよくわからない。赤坂は、首都・東京のなかでも、特に政治・経済の中心と言える地帯の一角を占める。TBSや赤坂サカスが位置し、すぐ東には首相官邸や国会議事堂もある。

そんな赤坂には、もうひとつ、「夜の街」という顔がある。新大久保の場合、歌舞伎町の韓国人ホステスたち御用達の店が職安通りのほうにいくつかあるという。赤坂に韓国料理屋が集中していることにも、同様の背景があるのかもしれない。

さて、今回訪れたのは、その赤坂の焼肉店「草の家」。山王神社の鳥居を背に赤坂への道を歩いていくと、左側に「草の家」の看板があった。地下鉄赤坂駅2番出口のすぐ近く。1階に「やまや」が入っている雑居ビルの3階だ。

ガラス張りのエレベーターに乗り、店へ入る。高級感のある暗めの店内は思いのほか広々としていて、丸い大きなテーブルがいくつも並んでいる。平日の昼とあって、赤坂で働くサラリーマンで賑わっているんだろうと想像していた。しかし、13時を過ぎていたからか、先客は1人だけ。やはりサラリーマン風の男性だ。焼肉は食べ終えたのか、サラダバーのサラダをむさぼり続けている。

そう。「草の家」のランチの特徴は、なんといってもこのサラダバーだろう。すべてのランチメニューにつく。安楽亭みたいなファミレス系を除いて、焼肉店でサラダバーというのはあまり聞いたことがない。オフィス街のランチにはよくあるのだろうか。

そういうわけで僕も野菜をむさぼっていると、冷麺が出てきた。店員さんが麺にハサミを入れてくれるのだが、その際に「切ってもよろしいですか」とあらかじめ一声かけてくれる。切るなという客がいるのかもしれない。

麺はサツマイモ粉がメインらしい。ネット上では「咸興からサツマイモ粉を仕入れている」という記述も見かける。かつてメニューにそう書いてあったそうだ。咸興といえば北朝鮮第2の都市であり、咸興冷麺の故郷。しかし、少なくとも今回見たランチメニューにはそんな記述はなかったし、北朝鮮への経済制裁が行われているいま、もはやサツマイモ粉を輸入することなど不可能だろう。

さて、その麺。細めだが適度にコシがあって、噛みきろうと思えば噛みきれる感じ。好みのタイプの麺だ。スープもうまい。そして具は細く切ってあるので、麺と、具と、スープとが絶妙に絡む。すすりあげる。口の中に幸せが広がる。最高だ。

かくして「草の家」の冷麺は、僕の脳内冷麺ランキングの上位にランクインした。しかし、ここは赤坂の高級店。いつか、こんな店で焼肉食って、締めにこの冷麺をすすれるようなご身分になりたいものである。それまでは、このサラダバーつきのランチセットでがまんしよう。